流れ星スペシャル
その人と別れてつかんだリカコさんの幸せは、結構なスピード婚だった。
あとで聞いたんだけど、リカコさんと桂木さんがつきあい始めたのは、その年の5月で、その後すぐに結婚を決め、結局10月の挙式までの交際期間は、およそ5ヶ月ほどだったらしい。
招待状が来るまでの数ヶ月間、わたしはなんにも知らずに桂木さんと映画に行くことだけを夢見ていたんだから、ホントにおめでたいとゆーか、アホ過ぎる。
でも、つきあい始めたのが5月なら、あのお花見の時点で桂木さんはまだフリーだったわけで、それを知ったときには、ほんの少しだけ救われた気がした。
と同時に襲う後悔の念。
せめてあのお花見のときに、桂木さんへの想いをちょっとでも伝えておけばよかったな……。
いや、そんなことをしても何も変わらなかったはずだ。
だって相手はリカコさんやもん。敵うわけがない。
だけど、だけど……。
結局わたしは、決して放つことのない不発弾を抱えたまま、ふたりの披露宴に出席して、ふたりの幸せを願った。
それが人知れず散ったわたしの恋の結末。