流れ星スペシャル
「店長の胸の中は200パーセントくらいリカコさんで一杯で、自分の存在なんか点ほどもないんやって思い知ったわけ」
「ん~、そんなもんかなぁ?」
「リカコさんめっちゃ美人やし、ああいう人を一途に想う気持ちを、引っくり返す自信なんてないもん。アズちゃん絶望してしまったんやな、きっと……」
ガッシャーンと、厨房で皿が割れる音がした。アズが食洗機から洗いあがった食器を、カゴごと床に落としてしまったらしい。
アズも200パーくらい桂木さんで一杯ってことな……。
「大丈夫?」
割れた皿の片付けを手伝いながらそう聞くと、微かな声が返ってくる。
「ゴメン……」って。
普段からしっかりしていて、何かあっても顔に出さずに仕事するアズは、やっぱ大人やなって思ってたんやけど……。
まー、こーゆーときもある。
つーか、なんかちょっといじらしかった。
オレ的には複雑な心境やけどな。
営業が始まってからも、アズはオーダーの入力ミスをしたり、料理を運ぶ卓を間違ったりで……。
「10番、豚玉あがるよー」
「は……い」
オレが焼いたお好み焼きをチリトリに乗っけるとき、アズの手がすべって、それがするんと床に落ちた。
「キャ、ゴメ……」
「いい。焼き直すから」
オレがそう言ったとき、ついに桂木さんがキレた。