流れ星スペシャル


「沢井さん、今日はもうええわ、帰り」


いつになく厳しい口調。


「す、すみません。でも大丈夫ですから」


アズはそう謝ったのに、桂木さんは静かな声で言い放った。


「こっちが迷惑や」


えー……。

そんでオレからボウルを奪い取り、焼き直しのお好み焼きを焼き始める。

アズはアズで無言のまま、足元にグシャリと潰れてしまった無残な残骸を掃除しだした。

で、それをゴミ箱へ捨てると、オレらに向かってペコリと一礼する。


「お先に……失礼します」


そのままクルッと背を向け、アズは事務室へと向かった。

めっちゃ早足で……。


「桂木さん、キツイわ、今の。もうちょい優しく言えません?」


思わず食って掛かった。


「気持ちが入ってないとケガするだけや。お客さんも沢井さんもな」

「…それはそうやけど」


はぁ? 自分のせいやで? わかってるん?

しかも昨夜のことであんだけ泣きはらしてるってことは、告白されてんのと一緒やん。

それをあえてのあの態度?


「アズ……店辞めても知りませんよ。事務所行って何か言ってあげたほうがいいと思いますけど」


きっと泣いてると思うし……。


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