流れ星スペシャル
「お前が行けば?」
そう言われた。
「は? なんで?」
と聞いても、桂木さんは何も言わずに仕事を続けている。
まったく。意味が解らん。
しかしながら桂木さん、いっこうに事務所へ向かう気配なし。
あー、もう!
「明日待ってるって言ってくればいいんですか?」
そう聞くと、桂木さんは小さくうなずいた。
何それ?
とりあえず作りかけの焼きそばがあがった時点で、事務所へと向かった。
コンコン。
一応ノックして中へ入る。
あれ?
誰もいない?
そう思ったとき、足元でしゃくりあげる声がした。
「ヒィ…ック」
よく見るとハンガーラックの脇で、アズが座り込んで泣いている。
抱えた膝に額を押し当てて、まるで小さな女の子みたいに。
えっと……。
とりあえず仕入業者の販促品のタオルがあったから、袋を破ってアズの手に握らせた。