流れ星スペシャル


流れ星は、うちの会社の本職とは接点がないから、他に担当者と呼べる人はいなかった。


社長直下に店長がいて、ふたりで店舗経営の戦略を練っている。


フランチャイズ店だから、そういった経営や飲食店の細やかなノウハウは、本部が指導してくれるしね。


だから富樫店長がいなくなったら、流れ星のことをわかるのは社長だけだった。




わたしは経理担当だけど、実際にお店に行くわけでもないし、よくは知らない。


仕事と言えば、店長がATMに入金する売上金をネットバンキングで管理したり、会計入力とか、給料計算とか、仕入れ業者からの請求書チェックとか。富樫さんに会ったのも1回ぐらいやし……。




「何歳なん、この店長って? いくらなんでも無責任過ぎるやろ」


「ん~、確か26,7」


憤慨する綾香さんに、わたしはそう答えた。同い年かちょい下だったと思う。




「えっ、そんなええ年して、こんな非常識な人いるんですかっ?」


耳ざとい後輩が大きな声を出して、綾香さんに怒られる。


「『ええ年して』は禁句」


< 45 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop