流れ星スペシャル
とにかく速攻で求人広告出さなあかんな……。
そう思ったとき、入り口横の会議室の扉がガチャッと開いた。
あ、桂木さん!
打ち合わせを終えて出てきた桂木さんは、大股で自分の席へと戻っていく。
「桂木さーん、さっきの伝票、サインが抜けてました」
サイン漏れの伝票を見せるようにしながら、大きな声で呼び止める。
すると彼はすぐに方向転換して、わたしのデスクの横まで来てくれた。
「すみません。さっきの交通費の精算、サインが抜けてたからお願いしたいんですけど」
もう一度説明をする。
「……どこ?」
伝票をデスクに置き、ペンを渡すと、桂木さんは素直にそれを覗き込んだ。
「あ、ここです。ここにサイン」
言われるままに腰を屈め、サインをしようとする桂木さんの指が……、
ん?
ぷるぷると小刻みに震えている。
「え?」
「え、」
小さな声を同時に発して思わず見上げたら、彼の黒い瞳と、目が合った。