流れ星スペシャル


「うわ」


「うわ、じゃないねん」


なぜか綾香さんは怒っている。




「沢井……。あんた、まだ桂木さんのことが好きなん?」


「えっ、まさかまさか! 桂木さんはリカコさんの旦那さんですし」


思いっ切り首を横に振ってそう答えたのに、綾香さんはふ~っと、長いタメ息をついた。




「わかりやすいねん」


わたしを見ながらボソッとつぶやく。


桂木さんへの気持ちを、綾香さんに打ち明けたことなんてないのに、もしかしてずうっと、バレバレだったのかも……。




「あんな、あんたに言っておこうと思って、待ってた」


それから綾香さんはそう言った。




「向こうではメールのやり取りがまだ続いててな、どうも女子社員もひとり、流れ星勤務になるらしいねん。社長が桂木さんに『誰でもひとり連れて行き』って言わはってんて」


「へぇ」


「へぇ、じゃないやん。あんた危ないで、沢井」


「え、わたし?」


コクリと深く、綾香さんがうなずく


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