流れ星スペシャル
「大企業もどんどん潰れていく今の時代、我が社も部品の卸売りの他にもう一本、強い柱を作らなあかん。そう考えてるときに、流れ星本舗の社長と知りおうたんや」
偶然人を介して知り合ったその三浦社長という人物と意気投合し、その人柄に惚れ込んで、流れ星の出店を決めたのだと、社長は話してくれた。
全国にチェーン展開する流れ星本舗のフランチャイズなら、素人の自分たちにもやり易い。
そう考えたのだと言う。
「それにな、飲食業には夢がある」
「夢……ですか?」
「うん。自分ががんばった分の答えが、ちゃんと返ってくる。お客さんに喜んでもらえるのも、そっぽ向かれるのも、自分の努力次第や。
まぁ、それはどの商売も同じなんやけど、直に手応えを感じ取れるから、やりがいにつながるねん。
もっとがんばって、もっと喜ばれるメニューを考えようとか、もっと店を大きくしようとか、次は何しようかなって気持ちになる」
「なるほど……」
と相づちを打ちながら、オレの頭はフル回転で、社長の提案をどう断るべきか考え中だった。