流れ星スペシャル
「しかし、店長が辞めたのは、2回目だと聞きましたが」
「うん。なかなか……うまく行けへんわ」
オレの質問に、社長は苦笑した。
「ボクが店舗経営の指揮を振るうというよりも、そういうことのできる人間を育てるつもりやったんやけどな」
季節毎の企画や、経費の押さえ方、店を切り盛りしていく細やかなノウハウは、本部が指導してくれるらしい。
それを身につけ、トコワカ商会のもう一本の柱を築ける人材を育てるつもりだったと、社長はオレに説明してくれた。
「そういう目標を勝手に設定されても、急には共有できんわな。最初の店長は商売のセンスのある男やったけど、『自分でやりたくなった』って辞めていった。
会社のためじゃなくて、自分の店ならもっとストレートにがんばれるって言われたわ。
がんばってガンガン稼いで、ええ車乗って、ええ服着て……。そういう夢を持ってやっていきますって」