流れ星スペシャル
そうして辞めていった初代店長は、今、自分の居酒屋を開き、成功しているらしい。
「今回の、富樫という店長が辞めたのも同じ理由ですか?」
「いや……、わからんねん」
そう言うと、社長は遠くを見るような顔をした。
「え、聞いてないんですか?」
「うん。辞めるって、メールが一本あっただけで、もう連絡もとられへん」
「はっ? そんな……。無責任すぎるっ」
思わず声が大きくなったオレを、社長は諭すように言葉を続けた。
「ボクが、それだけの人間やったってことや。
なんせボクはそのメールを見るまで、あいつと夢を共有しているつもりでいたんやから。
信じる相手から、これっぽっちも信頼されていないばかりか、何も見えてはいなかった」
たぶん全幅の信頼を寄せている相手だったんだと思う。
「経営者として失格や」
社長は低くキッパリとそう言った。