流れ星スペシャル
「フ―――……」
オレは定食屋で、長い長いタメ息をついていた。
なんか、アレみたいやった。
キャッチセールスで個室に閉じ込められて勧誘され、契約するまで帰られへんやつ。
そんで、社長の切り札は……笑顔やった!
上手くはめられたのかもしれないと、正直思う。
本当はただの左遷にすぎないのかもしれない。
だけどオレだって……断ろうと思えば断れたはずだ。
それをなんで、引き受けてしまったんやろう……?
堅実で誠実な男だと、社長に言われた。
まさにそう、これまで大きな冒険もせずに堅実に生きてきた。
それでも、いっぱしの営業マンになるために、努力もしてきたし夢だってあった。
それを全部捨ててしまうようなことを、なぜ選んだのかわからない。
それなのに心のどこかで、妙な気持ちが首をもたげていた。
ヤバいな、オレ。どうかしている……。