流れ星スペシャル
「ちょっと桂木さん。沢井はあかんで。流れ星に連れて行かれたら困るねん」
「あ、いえ、桂木さんからは今日の話し合いに来てって言われただけで……」
わたしがそう説明したけれど、綾香さんは桂木さんに食ってかかった。
「今日は忙しいからムリ。明日もあさっても、ずうっとムリやから。
あのな、ウチらも遊んでるわけとちがうねん。『誰でもひとり連れて行け』なんて言われるような仕事、誰もしてへんから!」
ケンカ腰でそれだけ言うと、綾香さんはフンッと顔を背け、自分の仕事を再開した。
バチバチと、すっごい音を立ててキーボードを叩いている。
「あ、あの……」
わたしは思わず立ちあがり、桂木さんと向き合った。
「えっと……」
だけど、言うべき言葉が見つからない。
桂木さんへの想いとは別に、綾香さんが言ったことは、やっぱりわたしの本心でもあったから。