流れ星スペシャル
電気を点けて中へ入る。
天井まであるスチール製の棚が、壁3面と、部屋の中央を横切るように設置されている。
ここ10年くらいの帳簿や書類が、棚いっぱいに保管されている部屋。
隅に置かれた踏み台用の背の高いスツールをその一角に運び、わたしはその上に立った。
「この棚の一番上が、流れ星のスペースで、前期までの納品書とかレジロールとか、全部ここにありますから」
そう説明しながら、タイムカードが入った小振りの段ボール箱を、グイッと棚から引っぱり出す。
うわっ、
勢い余ってバランスを崩した。
「キャッ……」
ぐらりと揺れたスツールから放り出されて、
ドサッ……と、
地面にしりもちをついたのかと思ったけれど、痛くない。
「……大丈夫?」
耳元で桂木さんの声がした。
ヒ……⁉
う、後ろから、桂木さんに抱き留められている。
背中に感じる広い胸。
スーツの上からでもわかる逞しい腕。
吐息のようにささやかれた声……。