流れ星スペシャル
それからふたりして、散らばってしまったタイムカードの束を拾った。
段ボール箱を真ん中に置いてしゃがみ込み、月毎に輪ゴムで留めたカードを納めていく。
「あの……」
やや平静を取り戻して、わたしは言った。
「アルバイトの人で、調理まで出来る子は少ないと思うんです。その人たちがみんな辞めてしまったらどうしよう……?」
それが気がかりだった。
「すぐに募集しても、ホールならまだしも厨房となると、補充には時間がかかりそうだし。
その間、お店は閉めなきゃなんないかも……」
ましてや最近の求人事情は、本当に厳しいんだ。
「大丈夫ですよ」
それなのに桂木さんは、こともなげに言った。
「ボクが焼けるようになるから平気です」
「えっ?」
「明日から2週間、本部の方が指導に来てくれるんです。ホンマはこっちが出向いて、1、2カ月ほど研修を受けなきゃ店長にはなれないらしいんですけど……」
「か、桂木さんがお好み焼きを焼くの?」
「ええ。すでに営業中だし、なるべく店は休まない方向で、応援も兼ねて教えに来てもらえることになりました。
猛特訓です」