流れ星スペシャル
ウィーンウィーン……。
サイドテーブルのガラスの天板の上で、オレのスマホが呻り出した。
「……はい」
寝っ転がっていたソファから手を伸ばして、それを耳に当てる。
「トシ?」
いきなり若い女の声が言った。
「誰?」
「ウチや、うるるん」
「あー」
同じバイトの18歳。
流れ星で唯一、オレに話しかけてくるやつ。
「あー、じゃないやろ。店長飛んだらしいで。さっき変なオッサンから電話あった?」
「あった」
富樫さんは、ほんまにあのまま行方をくらませたらしい。
「なぁ、どーする? トシは今日行く?」
いつも元気なうるるんが、やけに不安げな声を出す。
「なぁ、トシは行くん? 4時から話し合いやねんで」
オレが黙っていると、うるるんはそう質問を重ねてきた。
「行かなしゃーないやろ」
渋々オレは、そう答えた。