流れ星スペシャル
社長ではなかった。
社長なら知っている。
熊みたいにイカつくて、でも笑うと子供みたいに可愛い顔になる人。
で、めっちゃ夢を語る…。
そりゃそーやな。社長がオレなんかに電話してくるわけないもん。
レギュラーで勤務していた頃ならともかく、今はオレ、店に出る時間も少ない。
社長とは、もう長い間会ってはいなかった。
いや、もともと社長がオレのことなんか、覚えているわけないか。
あの人はよく社用で人を連れては、店に食べに来て、バイトのオレらにも、気さくに声をかけてくれた。
「最近どう?」とか「頑張ってるなぁ」とか。
でも、そんな一人一人のことなんて、社長はたぶん名前すら知らないんだろう。
社長が見ているのは、いつも店長だったから……。
二年前、流れ星アメ村店立上げ当初、店長は富樫さんではなく、横内という人がやっていた。
社長はよくオープン前の店に来て、その横内店長を捉まえては話し込んでいたっけな。