かわいい俺様くん
「おい、勝手に終わらせんなよ!」
「誰だか知らねーけど、話は終わりだ。何かあるなら俺に直接言えばいいだろ。けど今日はひとまず終わりだから」
不満げな男子生徒さんだったけど、直接はあんまり勇気がないらしい。さっきより声は大きいけど、態度が小さくなっている。だいたいそうだよね。だからあたしにまわってくるんだもん。
教室を出て、隣に並ぶ。
「お前は男子に呼ばれたらついていくなよ。女子にも」
「えー」
「お前は俺だけ見てればいいんだよ」
呆れため息をつきながら、頭を叩かれた。ちょっと待て。と、手を伸ばしてネクタイをつかむ。
「じゃあ、そっちが目を離すなよ」
「……おう?」
立ち止まった柴崎に笑いかける。残念なことにあたしに俺様は通用しない。ここでキュンとするかわいさは、ないもので。
「よし、パフェはおごりだな。迷惑かけられたし」
パッとネクタイを離して先をスタスタと歩いていく。すぐ後ろから「待てよ」と声がするけど止まってやらない。
まあ、呼び出しは今後応じないことにしよう。結局は柴崎が来ちゃうんだからあたしだけで片を付けようとする意味ないし。