黒狼と猫の総長様
噂。
『今日もきてるよ……』
『よく、あんな姿でこれるわよねー??』
クスクスと笑いながら私の横を通り過ぎる女。
もう、慣れた。言われすぎて。
正直、学校に登校するのさえ面倒。
どうせ、教室には行かないんだから。
『あっ!!! ねぇ~ねぇ~玲彩チャン!! 今日の夜、俺とどう?』
私の向かう先に、明るい茶色の髪の毛の男が立ちふさがる。
ああ、こいつ、自分の事格好いいとか思ってる部類だ。
『残念ですが、予定が詰まってるので』
ウソだけどね。
予定なんか、ないけど。
『え~でもさぁ……一度ヤッた仲じゃん?』
そう言いながら詰め寄ってくる男。
『……そんな事、しました??
記憶に無いので余程下手くそなんですね??
お断りいたします』
そう言い放ち、茶色の男の横を通り過ぎた。
向かう先は、屋上。
私の、私だけの唯一の寛げる空間。
家も、帰りづらいから。
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