黒狼と猫の総長様
『『せめて、人数さえ揃えば、すぐに終わらしてやるっていうのに!!』』
声をあらあげてグルグルと落ち着きなく部屋を歩き回る2人。
『……人数、増えるかも』
その私の言葉に、翔が反応する。
『誰だ?』
『……時雨組』
私の呟きに、皆が息を飲むのがわかった。
『加藤は、組の奴なの。
だから、時雨組に応援依頼してみる』
出来れば、咲神も欲しいけど……。
翔を危険な目に合わせる立場上、透さんにお願いするのは気がひける。
『……なら、俺、親父に掛け合ってみる』
『……え?』
私の方を振り返り、翔が降格を少しあげて笑う。
『咲神組、居た方がいいだろ?』
私の心情を察したかのタイミングにピクリと肩が揺れる。
『玲彩。
お前の為でもあるが、兄貴の仇も含まれてるからな?
お前が、責任を感じる必要はない』
それだけ言って、携帯を片手に部屋から出て行く翔。
……祐希の、ため。