黒狼と猫の総長様
『咲神組代表。
咲神組組長咲神透』
透さんが、うっすらと笑みを浮かべ、私を見る。
『……俺達は、仲間だ。
覚悟なんて、この世界に入った時点で決まっている。
俺らは、お前を裏切らない。
夜猫代表。
夜猫総長咲神翔』
翔も、笑みを浮かべ、私を見る。
……似ているな。この親子は。
祐希も、遙さんも含めて。
『……お前は?』
突然声をかけた翔を見る。
『お前は、覚悟できているのか?』
そう言われ、スゥッと目を閉じる。
覚悟……?
そんなもの、祐希が死んだ時からあるに決まっている。
そして、お父さんとお母さんが死んだ時、もっと固く、揺るぎないものになった。
『……私は、加藤には負けない。
祐希の、お父さんとお母さんの仇をとって、笑って3人に報告する』
……3人の、前で。
笑えるようになるために。
『私の、覚悟は固いからな。
やると決めたんだ。
逃げはしない。
……黒羽、玲彩』