黒狼と猫の総長様
もう、ほぼ。
満月に近づいている月。
でも、まだ、輝きが足りない。
もっと、煌めいて。
もっと、光り輝く月の下で。
私は、笑える日が来るのだろうか?
時間は、刻一刻と。
いやでも、明日はくる。
誰も、殺させはしない。
死なせは、しない。
満月の前日。
中途半端な満月。
その月を見上げ、1人、誓いを立てる。
1ヶ月前も、同じようにこの月に宣言した。
ただ1つ違うのは、この月は、欠けるのではなく満ちるということ。
私の嫌いな満月を、私は好きになれるのか。
そんなの、明日にならないとわかるはずもない。
『……夜神時雨』
そう呟いた私の髪を、夜風がさらい、靡かせる。