黒狼と猫の総長様
ー翔サイドー
『……行け。夜神時雨』
その玲彩の言葉に、俺らは敵に殴りかかる。
ナイフを持っている奴が厄介だ。
そいつらからやっていこう。
どうやら、持っている武器で集団別になっているらしい。
俺は、ナイフを持った奴らに近づいていく。
『死ねぇ!』
男が振り上げたナイフが、月の光で反射する。
嫌い、なんだよ。
俺は。
『……ナイフなんて、必要ねぇ』
男がフリ下げた手を避け、脇腹に蹴りを入れる。
武器を持つ奴が、喧嘩なんてする権利ねぇよ。
そう思いながら、敵を殴り飛ばして行く。
トンっと、軽く誰かが背中にぶつかり、後ろを振り返る。
『翔……⁇』
『玲彩』
相手も俺の方を振り返ったらしく、目があう。
『……足、引っ張んなよ』
『お前こそな』
黒狼よりも、男らしい。
組長でこの喧嘩に参戦する玲彩と、背中を合わせる。
『……玲彩、怪我すんなよ』
『……そっちこそ』
背中越しにそう言い、口元に笑みを浮かべる。
……もう、後ろを心配する必要はねぇな。
ー翔サイドendー