黒狼と猫の総長様
『翔っ!!!!』
玲彩の、叫び声が聞こえた。
全てがスローモーションのように感じ、目を閉じる。
その瞬間、痛みを感じる前に、体が揺れた。
『……保⁇』
『避けれよ、翔』
隣にいた保が、俺の腕を引いて笑った。
『……助けて、くれたのか?』
『当たり前だろ。
親友なんだから』
そう言って笑う保に、俺も笑い返す。
『ありがとう、保』
『水臭いな。
良いんだよ、俺、お前のこと殺そうとしてたし』
詫びだ、と、保が笑いながら言う。
その時、
『加藤、お前だけは許さない!』
玲彩の叫び声と共に、また、銃声が2発響いた。
『玲彩!』
慌てて玲彩のほうに視線を移す。
『……お前の彼女さん、最強だな』
そう言って呆れた声を上げる保に、俺も頷く。
『……心配させやがって』
玲彩は、加藤の持っていた拳銃を蹴り上げ、両手を縛り上げていた。