黒狼と猫の総長様
『翔、玲彩!』
ルキさんの声に振り返ると、皆がこっちに向かって駆け寄ってきていた。
『翔君、当たってないよね』
ペタペタと俺を触り、怪我がないか確認する愛哉に、無事を伝える。
『玲彩!』
親父は、加藤を縛り上げ、座り込んでいる玲彩に声をかける。
『大丈夫か?』
『透さん……。
大丈夫ですよ。
私を誰と思ってるんですか』
そう言って余裕そうな笑みを浮かべる玲彩に、親父が安心したように笑う。
『玲彩、祐希の事で、お前が俺らに会わせる顔がないように。
俺らだって、お前に何かあったら悟に会わせる顔がない』
そう言って玲彩を抱きしめる親父。
……何してんの。
『透さん……』
こんな時だけど、ムカつくのに変わりはない。
『離れろよ、親父』
玲彩達の隣に立ち、未だ玲彩を抱きしめる親父を睨みつける。
『……ベタ惚れかよ』
そんな俺に、呆れたように笑った親父は、玲彩から離れる。