黒狼と猫の総長様
『……翔』
俺を見ながら笑う玲彩を、きつく、強く抱きしめる。
『……よかった』
『……うん』
『お前、無茶しすぎなんだよ、馬鹿』
そう言って抱きしめる力を強くする。
『……翔こそ、拳銃避けなかった』
『……また、死ぬのかなって……っ
私のせいでっ……』
俺に抱きしめられながら、涙を流さないよう唇を噛む玲彩。
『お前のせいじゃない。
死んでないだろ?
俺』
そう言って、玲彩の唇をなぞる。
『噛むな。血が出る』
『……良かった…本当に…』
……いつまで泣くのを我慢してるんだかな。
『泣けよ、受け止めてやるから』
俺がそう言ったのと同時に、玲彩が俺の服にしがみつき、肩に顔を埋める。
『……っ、よか、った……っ…
翔っ……』
満月の夜。
月が沈み切る前に。
戦いは、決着を迎えたのだった。
ー翔サイドendー