黒狼と猫の総長様
想い。
私の返事
ー玲彩サイドー
『こんにちは』
私は今、咲神家の玄関に居る。
まぁ、理由は祐希に挨拶に来ただけだけど。
『玲、彩ちゃん!?』
遙さんが、私を見て驚愕の色を浮かべる。
『……遙さん』
『どうして、うちに?』
『……挨拶を、しにきました。
祐希に』
私がそう言うと、涙を流しながら、遙さんが何度も頷く。
『そう、そう……っ。
良かった……っ、玲彩ちゃん、あなたが、責任なんて感じなくても良かったのに』
そう言って笑う遙さんに、なんとも言えない顔を返す。
『……透さんにも、同じ事を言われました』
やっぱり、夫婦は考えが似てくるのか。
名前だけでなく、考え方まで似るとは。
親子も、似てたけど。
あ、この親子の場合、兄弟も似てるな。
て事は、全員似た者同士……?
そんな場違いな事を考えながら、遙さんに案内してもらう。
『……ここよ』
案内された部屋の襖を開ける。
そこは、祐希の好きだった和室で、写真が飾られていた。
『……祐希、3年も、かかっちゃったよ』
祐希の写真の前に座り、チリンチリン……と鈴を鳴らす。
『……祐希。ケリ、つけてきたよ』