黒狼と猫の総長様
遙さんに眼の前で手を合わされて、断れるわけがない。
『……よろしく、お願いします』
私の返事に顔を輝かせた遙さんは、テンション高めでどこかに走って行った。
……私、どうすればいい?
今日は、翔はいないっぽいし。
……とりあえず、突っ立っとこう。
ボーッとしながら、玄関で立つ。
遙さんの事だから、きっとルンルンでご飯作ってくれてるんだろう。
そう思い、晩御飯を楽しみに口元に笑みを浮かべる。
__ガチャッ
『ただい、ま……⁉︎』
『ああ、おかえり』
玄関のドアが開き、翔が入ってくる。
『……おかえりって……。
何でここに?』
『……祐希に、会いに来た』
そう言うと、思いついたような表情をしながら頷く翔。
『挨拶、できたのか?』
『まぁ、一応』
『てか、何でここに立ってるわけ?』
あ、そこ、触れちゃう?
別にいいけど。
『遙さんが、晩御飯どう?
って言ってくれたから』
『……そう言う事か。
ついてこい』
納得した様子の翔を見ていると、そう言われ、翔の後をついていく。
この分だと、あのままだったら、きっと透さんにも同じような反応をされた筈だし。
想像がつくから面白い。