黒狼と猫の総長様
『……入れ』
暫く歩き、ある部屋の前で翔が立ち止まり、部屋の扉を開ける。
『失礼します』
そう言って中に入る。
『……ここは?』
自分が着ていたジャケットをハンガーにかけている翔を見て、首を傾げる。
祐希の部屋、ではない。
祐希の部屋に入ったのは小さい頃に一度だけだから、変わっているのかもしれないけど。
『俺の部屋』
『は?』
『だから、俺の部屋』
おもわず聞き返してしまい、2度もその事を聞く羽目になる。
翔の部屋?
確かに、そう言われて改めてみれば、夜猫皆の集合写真とか、昔の愛哉と愛斗らしい写真とか。
……だね。ここは翔の部屋だ。
『……って、何で……⁇』
『何でって言われてもな。
……座れ』
小さい冷蔵庫からお茶を取り出し、私に差し出しながら座るよう指示する翔。