黒狼と猫の総長様
『姫さん、本当に女の子?』
『……どういう意味よ』
からかうような口調でそういった新名を睨みつける。
『何でもありません』
その言葉すらからかい口調になっている新名を思いっきり蹴る。
『痛いんだけど……っ‼︎』
痛がる新名を横目に、溜息をつく。
『……そりゃあ、蹴ったんだから』
『どこに蹴る必要が……⁉︎』
蹴られたところを押さえながら私にそう主張する新名。
『……本当に、置いてくわよ』
そう言ってさっきと同じように、新名を置いて先に進む。
同じ階だから、エレベーターに乗らなくていい訳で。
しかし、いつも屋上からエレベーターに乗っていた私は、目の前に止まるエレベーターのボタンを押してしまう。