黒狼と猫の総長様
顔を逸らし、理事長室の扉を開ける。
『じゃ、俺行くから』
私の後ろでそう言った新名に頷き返し、理事長室に入る。
『ルキ』
そう呼んでも、ここの部屋の主であるルキの姿が見当たらない。
『……ルキ?』
シーンと静まり返った理事長室からは、ルキの返事は聞こえてこない。
……サボってるのか。
そう判断して、冷蔵庫の中からイチゴオレを取り出す。
……本当、よく常備してある。
イチゴオレ片手にソファーに埋まる。
1人になったのは久しぶりだ。
いつも、誰かしら隣にいたから。
『……寝よう』
連日の組内での飲み会で寝ていない私に、容赦なく睡魔が襲いかかる。
……あいつらが悪い。
夕飯の度にお酒を出してワイワイしだすあいつらが。
そう考えながら、私はそのまま目を閉じ、ソファーに埋まった。
ー玲彩サイドendー