黒狼と猫の総長様
『……真、今、玲彩居ない』
琉が真を見てそういう。
……そうか、こいつだけ、会った事ないんだったな。
『あ、琉さん。
俺、さっき会いましたよ。姫さんに』
そう言って笑う真を見て、琉が首をかしげる。
『偶然、会ったんです。
変な子だったから声かけたんですけどね?
夜猫の皆さんの姫さんでした』
〈変な子〉に反応して、愛哉と愛斗、琉が肩を震わせる。
……笑いを堪えてるのか。
第三者から変な人と見られるあいつは、流石なのか何なのか。
『マイハニーに会ったのか!?』
真の肩を掴み前後に譲りながら声を上げる城間を真が睨む。
『煩いよ、お前。
……てか、マイハニー⁇』
そう聞き返した真に、待ってました! とでも言いたそうに顔を輝かせる城間。
『そうさ。
玲彩は、僕のマイハニー!
ここに来たのは、玲彩を追いかけるためさ!』
当たり前とでも言うように嬉々としてそれを語る城間を、真が白い目で見る。