黒狼と猫の総長様
『敬語なんて使わなくていいって事ですよ』
そんな俺を見て、呆れたようにそう言う壮一。
……今の、解りにくかったのか?
『え、いやっ、でも』
壮一の言葉にアタフタする真。
『真ー、別にいいんじゃない?
翔達もそう言ってるんだから』
『お前はもっと尊敬の心を持てよ、保』
『……翔以外になら』
『翔さんが総長だろーが』
そう言って言い合いを続ける保と真を、城間が呆れたように見る。
『真、その尊敬する翔さんの前で、声を粗あげていいのかい?』
城間のその一言で、真の動きがピタリと止まる。
『分かったら保も突っかからない。
真の言い分も聞いたらどうだ』
城間の言葉に保と真が顔を見合わせ、笑った。
『ごめんな、保』
『いや、俺も悪かった。
翔には今更敬語なんて使う気にならないからさ。
他の人達には敬語、使うよ』
そう言った保の頭に、拳を振り落とす。