黒狼と猫の総長様
男は、母さんにばれないように、俺に手を上げ始めた。
初めは、お腹を殴るくらいだった。
見えないところを殴られ、けられ。
それでも、男を見る母さんが、昔の母さんのように幸せそうだったから、俺は我慢した。
もう、母さんの幸せを奪いたくなかったから。
そのあとも、男による俺に対する虐待は収まらなかった。
逆に、悪化して行って。
中2の終わり頃。
俺が虐待され始めて、1年が過ぎたくらいの時に。
とうとう、母さんに見つかったんだ。
母さんはすぐに男に問い詰めた。
すると、男は今まで笑っていた顔を真顔にして、冷たい目で俺と母さんを見つめた。
『なら、お前が身代わりになるか?』
母さんは、男のその言葉に、頷いた。