黒狼と猫の総長様
俺のせいで、俺の代わりに殴られる母さん。
男は、母さんが女でも容赦しなかった。
きっと母さんは、耐え切れなかったんだと思う。
ある日、いつもある、学校から帰った俺を迎える声がなかった。
嫌な予感がして、母さんと叫びながら家中を駆け回ると、風呂場で手首を切って死んでいる母さんを見つけた。
遺書を、右手に握りしめて。
警察が来て、男が来て。
警察は、男ではなく、俺に遺書を見せた。
そこには、俺に対する謝罪の言葉が永遠に綴られていて。
手紙の最後に、俺のために貯めていたお金の口座番号が書いてあった。
『……かあ、さんっ……!』
この日、両親が離婚して、初めて泣いた。
母さんの葬式が終わり、少しした頃。
男は、母さんが死んだのをいい事に、家に女を上げまくっていた。
その日も、いつものように帰ってくると玄関に女物の靴があって。
またか、と呆れながら部屋に行こうとする俺を呼び止める声が聞こえた。
『君が琉君!?!?
本当に中学生とは思えないほど大人びた顔してるのね!』
そういおながら、女は嫌な笑みを浮かべて俺ににじり寄ってきた。
危機を察した俺は、慌てて部屋の中に入ろうとした。
けど。
それを、男が止めた。