黒狼と猫の総長様
『皆、1週間後に向けて、ちゃんと準備してよ』
そう言った私に、みんな首をかしげる。
『……敬語・仕草・姿勢・立ち振る舞い、とか、ね?』
『『げっ……』』
私の言葉に、少し青ざめながら引きつった表情を浮かべる愛哉と愛斗。
『俺は大丈夫ですよ』
そう言ってメガネを押し上げる壮一。
確かに、壮一はそういうの得意そうだしね。
『……俺、も大丈夫』
琉も?
……いつ習ったんだろう。
『琉のお爺さんの家は、俺の家と仲がいいんですよ。
だから、結構分かるんですよね』
成る程ね。
『……俺はまあまあ』
だろうね。
翔に付いては、心配してないよ。
だって親があの透さんと遙さんだし。
逆に知らない方がおかしい。
『……じゃあ、愛哉と愛斗は特訓ね』
にっこりと笑った私から、愛哉と愛斗が後ずさっていく。
『……愛哉、愛斗?』
『『お、お手柔らかにお願いしますっ!』』
私の笑みが効いたのかなんなのか。
愛哉と愛斗は頭を下げてそう言ったのだった。