黒狼と猫の総長様
『『えーー! レーちゃんだけインチキだよ‼︎』』
『……ひいき?』
『壮一……分かってるよな?』
そんな壮一の言葉に反応した皆が、口々にそう文句を言う。
……いつも通りの皆だ。
これでこそ、皆だと思う。
『お礼は良いよ、壮一。
その代わり、今日、しっかりエスコートして貰うから』
そう言ってニヤリと口角を上げた私を見て、壮一も同じように口角を上げる。
『お安い御用ですよ。
任せてください』
そんな私達を見て、少し不機嫌になる翔を、愛哉と愛斗がバカにして笑う。
『……嫉妬はダメだよ』
挙げ句の果てに、琉にまでそう言われる始末。
『……分かってるよ』
そう言いながらも分かりやすく拗ねた翔に、壮一がおかしそうに笑った。
『……翔、拗ねてる?』
翔の顔を覗き込みながらそう言った私の頭を掴んで、翔が自分の方にグッと引き寄せる。
そのせいで、目の前は翔の胸板……。
つまり、抱きしめられている状況にある。
『……翔⁇』
『……ムカつく』