黒狼と猫の総長様
『……玲彩』
私の名前を呼んだ、しゃがみ込んでいる翔に視線を移す。
『……それ、どうしたの』
翔は、そんな私を真剣な目で見つめて、何かを差し出していた。
『……買った。
未来資金ってヤツ』
そう言って顔に笑みを浮かべた翔の手元には、星よりも、綺麗に輝いている、リング。
『……黒羽玲彩さん。
俺と、結婚してください』
そう言った翔に、思わず笑みを浮かべる。
『私たち、まだ高校生だよ?』
『……予約。
で、返事は?』
わざとそう言った私に、返事を聞く翔。
返事、ね。
そんなの、1つしかないに決まっている。
『もちろん、喜んでお受けいたします』
そう言って笑い、翔に抱きつく私を、慌てて翔が受け止める。
『……これからも、どうぞよろしく』
『……ああ。こっちこそ、な』
顔を見合わせて笑った私達を、三日月の光が照らす。
月の光でできた影は、そのうち重なっていった。
幸せは、掴みにいくもの。
いつまでも、永遠と夜空に浮かぶ月に、密かに誓います。
翔と、幸せになる事を______
end****