黒狼と猫の総長様
姫なんて、作るつもりなかったのに。
ここに来たのは、まぁ、実を言うと姫を見つけるため。
まさか、俺らが嫌っていた黒羽玲彩が姫になるなんて、予想もしてなかったけど。
『黒狼か』
総長、翔が、面白そうに笑う。
『気に入った。
黒羽、玲彩。
絶対、姫にしてやる』
最近、翔は丸くなった。
激しかった女遊びを止め、タバコも吸わなくなった。
これは全部、あの子のおかげかな。
『……壮一』
グイッと俺の袖を引く琉を見る。
『玲彩、俺より、黒いよ』
何が、なんて、聞かなくてもわかる。
『俺達が、治してあげるんでしょう?』
そういった俺に、琉が緩く笑った。
ー夜猫(壮一)サイドendー