黒狼と猫の総長様
『……玲彩、勘違いしてる』
眠そうに目をさする琉を呼んで、膝枕する。
……本当、琉、初めと性格が変わった。
私も、だけど。
信じてくれたって、自惚れても良いのかな?
『琉。どかないと、鬼が君臨しますよ』
私の隣にいた壮一が、苦笑いをしながら琉にそういう。
『鬼?』
壮一の言葉を疑問に思い、辺りを見渡すも、鬼なんてどこにもいなかった。
……あ、いた。
『……琉』
低く、地を張るような低音ボイスで名前を呼んだ翔は、確かに鬼のようなオーラを放っていた。
……何。
何で、こんなにも不機嫌なの。
『……翔?』
『……あ?』
『怒ってるの』
『……怒ってねぇよ』
首を傾げた私から顔をそらした翔から、黒いオーラが消える。
『惚れた弱みですね』
その壮一の言葉に、愛哉愛斗と壮一が肩を震わせて笑っていた。