黒狼と猫の総長様
『勘がいいな』
『嬉しくないから』
そう言って、バイクに跨る翔を見る。
『急いで帰れよ』
『……分かってる。
この心配性』
私の言葉に翔は少しうつむき、何か企んだ顔でバイクを降り、私に近寄る。
『……忘れ物』
そう言って、翔の顔が近づき……。
ちゅ____
可愛いリップ音を鳴らして、離れていく。
『……なっ』
『じゃーな』
そう言ってバイクに跨り、今度こそ倉庫に戻った翔の後ろ背中に、毒を吐く。
『……キザ野郎』
翔には、聞こえるはずのない程、小さな声で。