黒狼と猫の総長様
『……玲』
『ん?』
『ちゃんと、参加しろよ?
俺らも、参加するから』
そう言って笑う翔から、顔を晒しそうになる。
昨日の今日だ。
……あんな話、しなければよかった。
心の中で後悔しながら、作り笑いでなんとか馬を乗り過ごす。
そんな私の笑みを、1人、疑問に思いながら見ている人がいることに気づかず。
休み時間、愛哉と愛斗は先生に呼び出され、琉はルキに呼びされていた。
『翔さん!
呼び出しですよ?』
翔も翔で、他のクラスの女の子に呼び出された。
……初めてかもしれない。
壮一と、2人になるのは。
『玲さん、少し、時間いいですか?』
壮一に呼ばれ、コクリと頷く。
『玲さん、さっき、何故作り笑いを?』
その言葉に、少しだけ肩が揺れる。
『……つくり笑いなんて、してない』