黒狼と猫の総長様
『……俺、分かるんです。
家が大きいと、俺の機嫌を取ろうって輩がニコニコとつくり笑いで近寄ってきますから』
そう言って笑う壮一。
人に言う割には、結構自分も作り笑いをしていることに、彼は気づいていない。
『……それは、貴方が一人称を《俺》と言っていることに、関係ある⁇』
私がそう言うと、驚いたように目を見開く壮一。
『……普通ですよ?
俺という方も、男性なら沢山いますから』
『普通の家ならね』
そう言って壮一の目を見る私から、壮一も目を離さなかった。
『……どこまで?』
『……何』
『どこまで、知っているんですか?
玲さんは』
どこまで、と言われても困る。