隠れ家
それから、いつものようにまたそこへ通った。

たまに、彼がいた。

すると、飽きるまでキスをした。

言葉は交わさない。

名前も知らない。

金魚に餌をあげる代わりに、彼とキスをした。

私の口の中を動き回る舌と、少しかかる彼の息は、金魚より少し生きていることを感じられた。

しかし、それ以外は静かで、やはり金魚とさほど変わらなかった。
< 10 / 14 >

この作品をシェア

pagetop