僕等はまだ恋を知らない
「あはは………焦るとよくないね。久しぶりに転んじゃったよ」
いつの前にか体を起こしていた沙耶は、笑いながら服についた砂をほろっていた。
いつも落ち着いて物事を判断できる沙耶が焦るなんて珍しい。
その焦りのせいで転ぶなんて、そんなに聞いちゃだめなことだったのかな。
私のせいでもあるのか………。
「ごめん………大丈夫?」
「大丈夫だよ。澪に隠し事してたバチが当たったのかも」
あっ…………。
やっぱり沙耶、1人で何か悩んでるんだ。