僕等はまだ恋を知らない


「うん……じゃあ……」



ふわりと甘い香りが近づく。


肩や首に回された手とか、ピタリとくっつく背中とか、沙耶の体温を感じる。


震える手でぎゅっと私をつかむその姿はとても可愛いくて、笑ってしまいそう。




「よしっ、行くよ」


「うん……!」



沙耶は軽い。


男ならひょいっと軽々しく持てるくらいの軽さ。


< 105 / 434 >

この作品をシェア

pagetop