僕等はまだ恋を知らない
「そういえばさ、大翔くんと九条くんの勝負は結局どうなったの?」
捲られていたジャージの裾を戻しながら、沙耶がポツリと呟いた。
きょとんとした表情で、軽く首を傾げている。
「あー……」
「それね」
微妙な表情を浮かべる大翔と九条くんに、私も同じく首を傾げた。
たしか勝負の内容って、勝った方がなんとか〜ってやつだったはず。
「ほら、これ」
ヒラヒラと九条くんの手に摘まれた小さな紙切れには『136』と書かれている。
大翔の座っているソファーにも同じく『136』と書かれた紙があった。
たしかこれはマラソンの順位。
私も『114』と書かれた紙をもらった記憶がある。