僕等はまだ恋を知らない
「………かづきくん、あのっ……!」
…………かづき?
ちょうど体育館の横を通ろうとした時に、その言葉は聞こえた。
かづきって、香月大翔のこと?
「大翔くんのことかな?」
沙耶にもしっかり聞こえていたみたい。
首を傾げて体育館側を指差している。
「行ってみよう!」
「え?いいのかな?」
「ちょっと、見るだけ」
沙耶の手をグイッと引っ張って、声が飛んできたであろう体育館の裏まで足を進めた。