僕等はまだ恋を知らない
「やっぱり大翔ってモテるんだね」
2人に聞こえないように、ボソッと沙耶の耳元に吹き込んだ。
「…………っ……」
反応を待ってたのに、沙耶からは何も言葉が返ってこない。
それどころか、大翔の女の子を見つめたまま固まっている。
「さ、沙耶……?」
とりあえず目の前で手をブンブン振ってみる。
気づくかな?
「…………わっ!…………あっ」
びっくりして大きな声が出たと同時に、バッと急いで口元を覆い隠した。
「ごめーん……」
両手を顔の前で合わせて頭を軽く下げた。
2人には聞こえてなくてよかったよ……。
反応がないところを見ると、間違いないだろう。