僕等はまだ恋を知らない


小さい頃この茂みに入ってすっ転んで怪我をし、大翔にこっぴどく怒られた。



「もう入るなよ」ときつく言われていたけど、そんな約束を守ってなんかいられない。




トンッ、トンッ、っとリズムを刻むように、坂を駆け下りて行く。


意外と順調に進んでいるし、このまま行けば無傷。



高校生にもなってこんな所で怪我をするとかはさすがになかったかな?




「っと……お!もうすぐ歩道だ」




ようやく茂みから出られる。


ここの茂みを抜ければすぐ目の前が学校だ。




出口が近いと思うと、私の走るスピードも少しずつ上がってくる。









「…………ーーーうわぁっ!?」





調子乗ってスピードを上げていたら、近くにあった石を避けきれず、ガツンと足にぶつかった。




「わっ、ちょっ………わっ!」




加速するスピードは急には止まらず、体制を崩しながらも走り続けている。


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