僕等はまだ恋を知らない
*
「はぁ〜〜〜……………」
机に突っ伏しながら、近くに居た沙耶に聞こえるような大きなため息を吐いた。
「ため息吐くと幸せが逃げちゃうよー?」
「幸せじゃないからため息が出るんだよ…………」
ついに高校3年生へと進級し、数週間が経過した。
見上げながら歩いていた桜並木にも、慣れてきた頃。
「澪ったら結構贅沢な悩みだよ、それ」
「うぅん……まぁ、そうなんだけどさ………」
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